出島組織サミットinTOKYO

出島組織という理論(?)を皆さんは聞いたことがあるだろうか?

先日、『出島組織サミットinTOKYO』(以下、出島サミット)に参加してきた。まだ、今年で3回目、過去2回は長崎の出島で開催されていたが、今年は参勤交代と称して東京で開催されることになった。今回の出島サミットには112団体、180名を超える多くの人たちが参加。当日、会場となったTokyo Innovation Base(TIB)は熱気に溢れていた。

午前中は主催者から出島組織の理念の説明、参加者の自己紹介、バーチャル長崎出島ツアーと続く、午後は出島組織TALKがあり、出島組織理論を実践している企業の取組みの紹介があった。登壇者は、コクヨ株式会社 / ヨコク研究所所長、パーソルキャリア株式会社 / タニモク開発者、株式会社 Open A 代表取締役、株式会社ローランズ代表取締役/ウィズダイバーシティLLP発起人、三和酒類株式会社/三和研究所取締役、株式会社わざわざ 代表取締役、天理市長 / 天理市ほっとステーション、一般社団法人ベンチャー型事業承継 代表理事。一つ一つは残念ながら説明できないが、どれも素晴らしく、インスピレーションをたくさん得られたし、大いなる刺激をもらった。

そもそも出島組織理論とは何か?

出島組織サミットの仕掛人である倉成英俊氏の言葉を借りると、「本体組織から外に出て」「新しい価値を生む」、やり方のことを言う。組織は、大きな力を発揮する一方、意識していないと硬直化し易く、働いている人たちは閉塞感に陥りやすい。この組織を非効率化させる方法については、過去、このブログでも書いたことがあるが(https://blog.goo.ne.jp/kasegerupurocon/e/931036f008e17e49d99df98c55c7f3b1#comment-list)、組織維持の中で個々の力が発揮できず、また文化やルールの枠を越えた活動をし難く、結果新たなイノベーションを生み難い。それらの課題を克服するために本体組織からチームごと外に出て、新しいものを生み出すチャレンジをするこという。

実際に日本企業の出島(=スピンオフ)理論を展開する関西学院大学専門職大学院の吉村典久教授も今の日本の大企業の多くがスピンオフ組織(=出島)だとも言っていた。吉村教授がいう出島組織のメリットは、スタートアップ企業と違い、大手企業の資本を使いやすい点だと話していた。

それ以外にも出島理論の効用がある。例えば、本体からの悪い影響を受け難い、本体とは違う文化が醸成できる、機動性が高まるなど。いずれにしても会社だけではなく社会の課題解決をすることが可能になる。私は、今回の出島サミットを通じて、出島組織の理論が使えるところが色々あることに気がつく。その一つに事業協同組合の活性化である。

中小企業診断士の皆様には余計な情報だが、事業協同組合は、共通の利益を持つ中小企業や個人事業主が協力し、相互扶助を目的に設立される組織である。欧州で誕生し、日本では中小企業等協同組合法(1949年制定)に基づき運営されている。組合員は共同購買や販売、研究開発、共同宣伝、福利厚生などで利益を共有し、単独では難しい経済活動の効率化やコスト分散を実現するというメリットがある。特に工業団地や卸団地は勿論だが地方産業や伝統工芸、農林水産業の分野で活用され、経営基盤の強化や地域活性化に貢献してきた。しかし、今はこれらの団体も減少してきており、残っているところも組合機能を十分に果たしているところは少なくなっていると聞く。

原因は色々考えられるが、行政支援が個社支援に移行したことや資金・原料資材などの調達環境が多様化し組合の共同事業のメリットの減少、組合運営の意思決定の遅さや煩わしさ、そして何よりも組合経営者の高齢化が考えられる。事業協同組合が最も活性化していたのは高度経済成長期だとすれば、その頃の経営者はどんなに若くても70代になっている。

そんな事業協同組合の置かれている状況下、この出島組織理論である。前述したとおり、地方産業や伝統工芸、農林水産業の分野で本体の組合から外れて出島組合を作るという方法である。同じ事業内容だったとしても、そこに新たな価値を加えることを目的にやる気やアイデアを用いて出島組合を作ることができれば、若者が事業協同組合を見直すことにならないだろうか。

 

私の思考の整理が出来ていないため最後は纏まりがなく、取り留めのない話になってしまったが、1日多くの刺激をもらったのは間違いなく、これからの事業活動に活かせたらと思っている。

 

本記事は、以下のサイトで公表したものの再掲(一部修正)となります。

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