世の中の体温をあげる
忙しく過ぎていく日々の中でも、自分を大切に、
優しい気持ちで一日をすごしてほしい。
誰かと比べられることがあっても、
その素敵な個性をすり減らすことなく、生き生きと暮らしてほしい。
わたしたちは、一杯のスープにそんな願いを込めて、
あなたと、あなたの先に広がる人々の心の体温をあげていきたいと思います。
上記はスープストック東京のwebサイトの写真と経営理念です。とても素敵な経営理念ですし、真にこの理念を追求しているように見えます。
そんな同社に関する日本経済新聞の朝刊を読んでいて考えさせられる記事があったので、記してみます。それは2023年6月2日の記事でした。今年4月、食べるスープの専門店「Soup Stock Tokyo」が「離乳食を全店で無償提供する」と発表したところ、想定以上の賛否の声が飛び交い「炎上」したというもの。フォロワー3万人の公式ツイッターに3200万を超える閲覧があり、好意的な意見よりもネガティブな意見が目立ったというものです。
一般的に考えると社会貢献を意識した取り組みであり、あまりネガティブな意見が出ることがないように見えますが、当社については、そうではありませんでした。それは1999年の創業当時、多くのファーストフードやファミリーレストランが存在する中で、働く女性が落ち着いて食事できる場所の提供をコンセプトにしたところ、狙いは的中し、女性客を中心に独特のブランドポジションを確立したという経緯があったためです。
その記事は、「企業ブランドへの内省と持続的な発信力が問われている」と締めくくられています。非常に難しい問題ですが、丁寧な情報発信は間違いなく必要だったんだろうなと記者の方に賛同しつつも、逆に25年近くもそのブランドを維持し、根強いファンが存在していたことに感心しました。
創業者は三菱商事から出向した日本ケンタッキー・フライド・チキンにおいて「Soup Stock Tokyo」の企画となる物語形式の企画書「スープのある一日」を起案。翌年お台場に1号店をオープン。2008年、MBOによって三菱商事から独立しました。
これだけで十分ストーリーがあって、創業者はもっと多くテレビに出ていて良さそうなものですが、ブランドを維持するためなのかあまり露出していません。ブランドポジションの変更は慎重にすべきという今回の話もさることながら、そもそも外食産業が元気だったあの当時に新たな、そして独特のブランドポジションを構築し、今日にいたるまでそのブランドを構築維持している創業者に今更ながら驚くばかりでしたという話です。
本記事は、以下のサイトで公表したものの再掲(一部修正)となります。
東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ