多摩まちづくりコンテスト
東京都武蔵境駅から歩いて15分のところにある亜細亜大学の経営学部に髙石教授という方がいます。この方、大変、ユニークな方でご自身のゼミで学生にビールを造らせてしまいました。校内の空き地でホップ作りを始め、大学のそばにあるクラフトビール醸造所と連携し、ビールを造って、瓶詰め、ラベル作り、最終的には400本ほどのビールが完成し学生以外にも一部配ったとのこと。暑い夏も髙石さんは毎日水やりを手伝うなど、教授自らも積極的にかかわり、学生とともに作り上げました。この取り組みは、「多摩まちづくりコンテスト」で受賞し、生徒も多いに喜んだとのことです。この活動を始めた切っ掛けは地域と何かできないかと地域の企業と接触しているなか、紆余曲折あってビール造りに辿り着いたようです。この活動は今年も継続中でホップと学生を中心にさまざまなコラボレーションが生まれだしたとのこと。また、就職活動にもプラスに働いているようです。
髙石さんは、ビールを造り始めた目的を次のように話します。「賞を受賞することや話題になることが目的ではなく、学生に原料を作るところから、製造、マーケティング、販売までの一連の工程を体験することで経営を学んで欲しいと考えた」からというもの。経営学部なので、髙石さんのおっしゃることは分かるものの、そこまで学生と向き合う情熱にも驚かされました。ただ、私からもっと告知したらどうですか?と尋ねると、「こういうものは、こちらから売り込みに行くものでないし、頼んで取りあげてもらえるものでもない」と教えていただきました。
多くの企業が認知度を上げるためにあれやこれやと取り組みます。多くのお金を掛ければお客様の目に触れることは出来ますが、見た方の意識に残るのは本当に僅かです。先日、塾長に紹介してもらった「日本でいちばん大切にしたい会社」を読みました。ここに取り上げられている全ての社長は、この本に取り上げられる前も取り上げられた後も変わらないスタンスで事業を行われていることでしょう。やはり人に認知してもらうためには記憶に残らなければならず、記憶にとどめていただくためには、人の心に訴えるものが必要だと感じます。今回のゼミでのビール造りが今後続いていけば伝統になり、地域にも認知されるかもしれませんが、仮にそうならなかったとしても、実際に体験した学生の記憶には確実に残り、今後に活き続けることだと思います。本日もお読みいただきありがとうございました。
本記事は、以下のサイトで公表したものの再掲(一部修正)となります。
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