
筆者も2016年4月に使い始めて6年が経過しました。手動入力で支出をスピーディ&正確に記録できるアプリで、使い方がとてもシンプル、月々の支出を把握しやすいのが特長です。私の場合、現金や電子マネーで払ったものだけをつけて、少額の出費を把握するようにしています。
江尻社長とのお付き合いは、某Fintechアクセラレーターの第1号としてスマートアイディア社が選ばれて以来となりますが、この間、ずっとダウンロード数が伸び続けています。
2020年まで同社の主な売上は有料会員収入と広告収入の2本柱でした。江尻社長は、成長を目指し、ファイナンシャルプランナーの有料のリモート相談を紹介する事業など、家計簿を利用する人と関連性の高い事業にトライしていましたが、ライフプランに関連する分野での事業は必ずしも成長しませんでした。家計簿をつけるからライフプランの有料相談を申し込むかというと、そこは必ずしもニーズではなかったということと、日本において、ライフプラン相談にお金を払うという文化が育っていないということだと思います。
一方、組織体制ですが、同社は家計簿アプリの企画、営業推進、システム開発までを自社で行っていますが国内の従業員は僅かしかいません。なぜ、そんなことが出来るかというとシステム開発部門を海外(ベトナム)に置いているためです。そして江尻社長の驚くべきは、ベトナムに日本人責任者を置いていないという点です。通常、日本企業は海外現法には日本人責任者を置くというのは一般的です。コストの低い国に拠点を置く場合、従業員の不正の可能性がある点や日本の経営を理解し、事業運営するためには日本人が適切であると理解されているからです。しかし、同社はベトナムの責任者のもと、日本人を1人もおくことなく、開発部門を運営しています。そのため、480万ダウンロードに目がいきがちですが、実は同社の強みは安価でスピーディー、かつクオリティの高い開発部門でもあるのです。
江尻社長は、そこに気づいた結果、2021年4月にアプリ開発・システム開発サービス‟プロトタイプからOK!アイデアをカタチにする”『サブスク開発』を打ち出します。現在の日本では優秀なエンジニアを確保するのは難しく、高コストになっていますが、同社のサービスは同じ期間、費用でも開発スピード、クオリティの高さが評価され、収益ドライバに育ちつつあります。ここで思うことは、中小企業診断士をはじめとしたコンサルタントは企業の強みをしっかりと把握することが大切ですが、十分に理解できていなのではないかということ。強みとは、これが無くなると当該企業が存在しなくなるというポイントですが、これを把握し、活用することはとても難しい。実際、6年前、ベトナムでシステム開発していると聞いて驚きましたが、強みとまでは感じませんでした。同社を見た時、どうしてもダウンロード数に目がいき、これをベースにビジネスを展開することを考えてしまいます。でも、仮に特筆すべきポイントがあったとしてもお金にならなければ事業を継続、拡大することは難しい。これらを見極め、導けるのがコンサルタントとして求められるスキルだと認識させられるお話でした。
ビジネスを一緒に育てるパートナーに。スマートアイデア社、プロトタイプからOK!アイデアをカタチにする『サブスク開発』の提供を開始|スマートアイデア株式会社のプレスリリース (prtimes.jp)